プロジェクト概要
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PROJECT STORY
海外製ユニバーサルジョイント置き換え
海外で築かれた信頼、培われた実績 ――A鋼鉄に導入されたユニバーサルジョイント
ユニバーサルジョイントは、海を越えた地でも使われている。中国のA鋼鉄様向けの案件は、社員が日本と中国を何度も往復する一大プロジェクトとなった。中国駐在員事務所のS所長と、当時同所に勤務していた東京営業所第一課のN課長が明かす秘話。
信頼が実を結んだ受注
中国でもユニバーサルジョイントが使われているそうですが、どういう経緯で注文が来たのでしょうか。
N主任「製鉄所・A鋼鉄様が、ホットストリップミル(鋼片からコイルや鋼板を製造する連続圧延機の一種)の粗圧延機駆動用スピンドル、当社で言うユニバーサルジョイントなのですが、それと同様の他社製品が使われていました。ただ、その製品に問題があったらしく、2013年にA鋼鉄様の工場長から“中村自工で相当品の製作・販売を検討してくれないか”とお声掛けいただいたことが発端です」
どういう問題があったのでしょうか。
N主任「欧米製と中国製の両方を使っていて、中国製は安い分、製品寿命が短いという問題が発生したそうです。一方の欧米製は、中国製ほど問題はなかったものの、長期間使用していると故障するなどの問題が表面化してきた際に、営業担当の訪問によるアフターフォローがなく困っていらっしゃいました。依頼をくださった工場長は、実は以前の勤務先で当社製ユニバーサルジョイントを使われており“中村自工にまたお願いしたい”と依頼してくださったのです」
海外規格の壁を越えて
交渉はスムーズに進んだのでしょうか。
N主任「従来使っている製品から他社製に置き換えるということで、工場長には社内を説得する材料が必要でした。複数の要望を提示されましたので、それに対して一つ一つ丁寧に答えていく形で交渉を進めていきました。要望の例をいくつか挙げますと、既存の性能以上のものでなおかつ価格は安く、納期は短期で納めてほしい、製品を納入して組み付ける際には技術者を出してほしい、また保証期間を通常より長くしてほしいとのことでした。工場長にしてみれば以前の会社でのつながりですから、それくらいサービスがないと新しい工場では厳しい、と」
契約までの期間はどれくらいでしたか?
N主任「最初に訪問したのが2013年、クロージングしたのは2014年です。期間中には当社技術部門(以下技術)の部長や課長、グループ会社の工場(以下工場)の役員や幹部も中国へと出向きました。振り返ってみるとナジコグループ総動員で獲得した受注だったと思います」
なぜそれだけの人が訪れたのでしょう?
N主任「取り付け部分のフランジ面が、日本だと平坦な面キー型なのですが、既設の他社製品のフランジ面は、ハースセレーションという歯状のデコボコした特殊な形状をしていました。この形を実際に作って納入するために、現地に技術部の人に来てもらって現品の寸法を測定し、データを持ち帰って試作品の型を作りました。完成した型を現地に送り、技術や工場のスタッフに再度訪中してもらって組み付けられるかを確認し、また工場に戻して型を元に製造してもらうということを行いました」
かなりの予算が必要となりますね。
N主任「結果から言うと、度重なる調整の結果、何とか採算が取れるところまで持っていった形です。ただ、その後も継続して注文していただけることが見込めること、特殊な形のフランジ面を製作できれば宣伝になること、そして会社としても新しい実績ができ将来につながるということで、取り組むべき仕事だと思いました」
本件での経験が、自信につながった
このプロジェクトを進める上で、苦労はありましたか?
N主任「工場には納期などでかなりの負担をかけたと思います。ただ試作品できちんと試験をしたこともありまして、納品した時にはぴったりとはまりました。技術に関しては、受注前の段階でA鋼鉄様のスタッフと技術交流を何度かして既存のメーカーの図面や強度計算書、モータのスペックなどの情報をいただいたのですが、それが中国語なので解読するのも一苦労でした。また追加で資料の提供や、仕様変更の依頼が複数回あったので、そのたびに技術とのすりあわせを重ねました」 S所長「現場のニーズに合わせて情報収集に努め、当社事業部の人たちを始め、技術や工場など関連部所が協力してくれたことにより、新しいタイプの受注を取ることに成功したと思っています」
特に特殊なフランジ面への対応は、新たな道となったのではないでしょうか。
S所長「特殊なフランジ面は欧州や中国で使われることが多いのですが、このタイプにも対応できたことで今後に展開していけます」
ノウハウは活かされていますか?
N主任「他の中国のお客様からも現在進行形でハースセレーション型の依頼をいただいており、図面を確認すると基本的にA鋼鉄様向けに製作したタイプと同じものです。A鋼鉄様との経験のおかげで、やっていけるという自信がありますね」
「中村自工には、本物のプロがいる」
嬉しかったクライアントからの言葉はありますか?
N主任「A鋼鉄様の工場長から“よくやってくれたね、要求したことに全て応えてくれてありがとう”と言われました。またA鋼鉄様のメンテナンスの作業長からは、“中村自工には本物のプロがいる”と。どちらも胸に響く言葉でした。納品後、アフターフォローのため当社スタッフがA鋼鉄様の工場を訪れた際にも、“海外なのに何度も来てくれて、本当に助かっています”と言っていただけたのも嬉しかったですね」 S所長「次の仕事でも声をかけていただけるようになったのは、ここで築いた信頼と実績があるからだと思います」
海外で活躍したいと考えている人に、メッセージをいただけますか。
N主任「私は2012年から約5年間北京に駐在しましたが、最初は中国語も英語も全くできませんでした。赴任当初は不安でしたが、現地で語学学校に通わせてもらえたので、安心できました。また海外で狙う案件は、基本的に大がかりなプロジェクトです。国内ではなかなかできない経験ができます」 S所長「Nさんはいきなり中国赴任となって不慣れなことも多かったと思いますが、この5年間はマイナスにはなっていないはずです」 N主任「はい、なっていません」 S所長「若いうちに一度海外を経験することは、悪いことではないですよね。不安要素は様々な面で会社がバックアップしてくれますから、とても良い経験になると思います」
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